ああ、誰かが見ていてくれたんだなあ
漫画の話をします。
漫画家の深谷かほるさんがツイッターで公開している漫画で、「夜廻り猫」というものがあります。
感傷的な夜にまとめて読むとね、これはダメです。
涙がボロボロ出てきてひどいんです。
落ちやすいアイライナーを引いてる日に限って何をしているんだか…
「夜廻り猫」は、ざっというとこんなかんじ。
主人公は猫の「遠藤平蔵」さん。
遠藤さんは毎晩、涙のにおいをかぎつけて泣いてる誰かを見届けてくれます。
で、何が泣けるかというと、ちょっと読んでみてください。
夜廻り猫・10 pic.twitter.com/Uhh8olXbP9
— 深谷かほる (@fukaya91) 2015, 10月 31
とある青年の成長を見守ってきた女性は、もう年老いて床に伏しています。
女性は青年を忘れてしまうかもしれません。遠藤さんは忘れません。青年のことも、見守ってきたあなたのことも。
夜廻り猫43 #今日の夜廻り猫 pic.twitter.com/amnLgxaq7t
— 深谷かほる (@fukaya91) 2015, 12月 3
一見ただグータラしている子どもでも、気遣いのうえでそのようにふるまっている。
子どもにとってそれが事実かどうかは描かれていません。しかし、息子は親からの強い信頼を感じ取って、その信頼に応えようとします。
誰も見ていないような、つらいことや頑張っていることを、遠藤さんは見守ってくれます。
ほかの漫画や小説でもあることなんですけど、この漫画の魅力って、
「他人が間接的に自分を応援してくれるところ」
なんじゃないでしょうか。
知ってる人から面と向かって「いじめに負けるな!」だの「成長したね」とか、
私だったら絶対言われたくないです。
ちょっとムカつきませんか?
あんたに何がわかるんだ、って。
シリアスなことについて話すには、身の回りの人じゃ重すぎるんですよね。
身の回りの人同士で繋がっているわけだし、今後も交流があると思うといまいち気も抜けない。
でも、自分の気にしていることについて他人から
「こういう人もいるよね。ちゃんと見てるよ。受け入れてるよ」
って言われると、妙に安心する。
まなざしの優しさを感じられる、そんな漫画です。
ぜひ毎晩のお楽しみにどうぞ。
ちなみに、タイトルはいがらしみきおさんの「ぼのぼの」17巻からパクりました。
いがらしさんは視線について「sink」や「i アイ」でも語ってきたような。
こちらもおすすめです。少し怖いけど笑